子どもが手足口病を疑う症状を見せた時、保護者としては、どのタイミングで病院へ連れて行くべきか、特に夜間や休日に症状が出た場合に、救急外来を受診すべきかどうか、判断に迷うことが多いでしょう。手足口病は、基本的に予後が良好なウイルス性疾患であり、特効薬もないため、全てのケースで緊急受診が必要なわけではありません。適切な受診のタイミングを見極めるための、具体的な目安について解説します。まず、比較的症状が軽く、「日中の診療時間内の受診で十分」と考えられるケースです。それは、①熱があっても、38度台前半までで、比較的機嫌が良い、②口の中を痛がってはいるものの、母乳やミルク、あるいは水分を、少しずつでも飲めている、③手足の発疹は出ているが、かゆみや痛みがそれほど強くなく、普段通りに遊べている、といった状態です。このような場合は、慌てて夜間救急に駆け込む必要はなく、家庭での水分補給やケアを続けながら、翌日の日中に、かかりつけの小児科を受診すれば問題ありません。一方で、「夜間や休日であっても、速やかに受診すべき」危険なサインもあります。最も重要なのが、「脱水症状」の兆候です。口の痛みのために、水分を全く受け付けず、「半日以上おしっこが出ていない」「唇や口の中がカサカサに乾いている」「泣いても涙が出ない」「ぐったりしていて、活気がない」といった症状が見られた場合は、点滴による水分補給が必要なため、直ちに医療機関を受診してください。また、ごく稀ですが、手足口病は、重篤な合併症を引き起こすことがあります。特に、中枢神経系の合併症である「無菌性髄膜炎」や「急性脳炎」を疑うべきサインには、最大限の注意が必要です。具体的には、「高熱が2日以上続く」「頭をひどく痛がる(特に年長児)」「嘔吐を何度も繰り返す」「呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとしている」「けいれんを起こした」といった症状です。これらの症状が一つでも見られた場合は、絶対に様子を見ず、夜間や休日であっても、ためらわずに救急病院を受診するか、救急車を呼んでください。子どもの様子が「いつもと違う」と保護者が感じた直感は、非常に重要です。不安な場合は、#8000(小児救急電話相談)に電話して、専門家の助言を求めるのも良い方法です。