手足口病が疑われて、小児科や内科などの医療機関を受診した場合、具体的にどのような診察や検査、治療が行われるのでしょうか。その一連の流れを、事前に理解しておきましょう。まず、医師は「問診」から診察を始めます。いつから、どのような症状(発熱、発疹、口の痛みなど)が出現したか、食事や水分の摂取状況、機嫌や活気の状態、そして、通っている保育園や学校、あるいは兄弟など、周囲での流行状況などを、保護者から詳しく聞き取ります。これらの情報は、診断の重要な手がかりとなります。次に、「身体診察」です。医師は、まず体温を測定し、全身の状態を観察します。そして、診断の鍵となる「発疹」を、注意深く診察します。ペンライトなどを使って、口の中、特に喉の奥だけでなく、舌や頬の内側の粘膜に、水疱や潰瘍がないかを確認します。さらに、手のひら、足の裏、そしてお尻や膝など、手足口病に特徴的な場所に、発疹が出ていないかを、くまなくチェックします。手足口病の診断は、ほとんどの場合、この特徴的な発疹の分布と、臨床症状の組み合わせによって、確定診断が下されます。そのため、特別な検査(血液検査やウイルス検査など)は、通常は行われません。ただし、症状が非常に重い場合や、髄膜炎などの合併症が疑われる場合には、原因ウイルスを特定するために、喉の粘液や便、髄液などを用いたウイルス検査や、全身の状態を評価するための血液検査が行われることがあります。診断が確定すると、治療方針が説明されます。手足口病の原因はウイルスであるため、抗生物質は効きません。また、ウイルスそのものを退治する特効薬もないため、治療は、つらい症状を和らげるための「対症療法」が中心となります。具体的には、高熱や頭痛に対しては「解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)」が、口の中の痛みがひどい場合には、痛みを和らげるための「うがい薬」や「塗り薬」、あるいは粘膜を保護する薬が処方されます。そして、医師や看護師から、家庭での水分補給の重要性や、食事の工夫、そして二次感染を防ぐための感染対策について、具体的な指導が行われます。
病院では何をする?手足口病の診断と治療