うだるような暑さが続く夏。開放的な気分になる一方で、多くの人が、原因の分からないだるさや頭痛、食欲不振といった、様々な「体調不良」に悩まされる季節でもあります。なぜ、夏になると、私たちの体は、これほどまでにデリケートになってしまうのでしょうか。その背景には、夏特有の過酷な環境と、それに対応しようとする私たちの体の仕組みとの間に生じる、ズレが深く関わっています。夏の体調不良を引き起こす主な原因は、一つではありません。まず、最も大きな要因が、高温多湿の環境がもたらす「自律神経の乱れ」です。屋外の炎天下と、冷房が効いた室内の激しい温度差に、体温調節を司る自律神経が対応しきれず、疲弊してしまうのです。これが、いわゆる「夏バテ」や「冷房病(クーラー病)」の正体です。次に、大量の汗をかくことによる「水分・ミネラル不足(脱水)」です。自分では気づかないうちに、体は深刻な水分不足に陥り、熱中症のリスクを高めるだけでなく、血液の循環を悪化させ、様々な不調を引き起こします。さらに、暑さによる「睡眠の質の低下」も、体調不良に拍車をかけます。寝苦しい夜が続くと、体と脳が十分に休息できず、疲労が回復しないまま、翌日を迎えることになります。そして、食中毒などの「感染症のリスク」や、紫外線による「体の酸化ストレス」も、見過ごすことのできない要因です。これらの原因は、単独で、あるいは複合的に絡み合い、私たちの心身に、じわじわとダメージを与えていきます。この季節を健やかに乗り切るためには、まず、これらの原因を正しく理解し、それぞれに適切な対策を講じることが、何よりも大切なのです。