これまで見てきたように、「手足口病」は、その症状が皮膚と口の中という、複数の領域にまたがって現れるため、どの診療科を受診すべきか迷いやすい病気です。しかし、その特性と、各診療科の役割を理解すれば、最適な選択をすることができます。ここで、手足口病で診療科に迷った時の、行動指針を整理してみましょう。【子どもの場合】→ 迷わず「小児科」へこれが大原則です。手足口病は、乳幼児に圧倒的に多い疾患であり、小児科医は、その診断、治療、そして合併症の管理に最も精通しています。似たような症状を示す他の子ども特有の感染症との鑑別も、小児科医の最も得意とするところです。脱水症状の評価や、保護者の不安への対応も含め、総合的に子どもの健康をサポートしてくれる、最も頼りになる存在です。【大人の場合】→ まずは「内科」へ大人が発症した場合は、かかりつけの「内科」が、最初の相談窓口として最も適切です。全身症状(高熱、倦怠感、関節痛など)が強く出ることが多いため、内科医による全身的な視点からの診察と、症状を和らげるための対症療法を受けるのが基本となります。【症状に応じた専門科の活用】小児科や内科を基本としながらも、特定の症状が際立ってつらい場合には、他の専門科を頼ることも、賢明な選択です。①皮膚の発疹が特にひどい、診断に迷う場合 → 皮膚症状の専門家である「皮膚科」を受診することで、正確な鑑別診断と、かゆみや痛みに対する、より効果的な外用薬の処方が期待できます。②口の中の痛みが極めて強く、水分摂取も困難な場合 → 喉の専門家である「耳鼻咽喉科」を受診することで、ネブライザー治療や、専門的な処置によって、つらい痛みを効果的に和らげてもらえる可能性があります。手足口病は、ほとんどの場合、自然に治る病気ですが、その経過中の症状は、非常につらいものです。一人で悩まず、まずは基本となる小児科・内科を受診し、そこから必要に応じて、他の専門家の助けを借りるという柔軟な姿勢が、つらい時期を乗り切るための鍵となるでしょう。
まとめ。手足口病で迷ったら、まずは小児科・内科へ