手足口病は、主に乳幼児がかかる病気ですが、免疫を持っていない大人も感染します。特に、子どもから家庭内でうつるケースは非常に多く、大人が発症すると、子どもよりも症状が重く、つらい経過をたどることが少なくありません。大人が手足口病を疑う症状(発熱、喉の痛み、手足の発疹など)を自覚した場合、受診すべき診療科は、かかりつけの「内科」が、最初の窓口として最も一般的で適切です。内科医は、成人の感染症全般に関する幅広い知識を持っており、手足口病の診断と、症状を和らげるための対症療法を行うことができます。診察では、まず、子どもの病気と同様に、症状の詳しい経過や、家族(特に子ども)の感染状況などを問診で確認します。そして、口の中や、手足の発疹の状態を視診し、手足口病に典型的な所見であるかどうかを判断します。大人の場合、発熱は38~39度の高熱が出ることが多く、インフルエンザのような強い頭痛や、関節痛、筋肉痛を伴うこともあります。また、手足の発疹は、強いかゆみだけでなく、ピリピリ、ズキズキとした「痛み」を伴うことが、大人の手足口病の大きな特徴です。特に、足の裏の発疹の痛みで、歩行が困難になることも珍しくありません。内科では、これらのつらい症状を緩和するために、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど)や、口内炎の痛みを和らげるためのうがい薬や塗り薬、そして、かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服薬などが処方されます。手足口病そのものを治す特効薬はないため、治療は、十分な休養と水分補給を基本とした、対症療法が中心となります。ただし、口の中の痛みが極めて強く、食事や水分摂取もままならない、といったように、喉の症状が特に顕著な場合は、より専門的な診察が可能な「耳鼻咽喉科」を受診するのも良い選択肢です。また、皮膚の発疹が非常にひどい、あるいは診断に迷うような非典型的な皮疹の場合は、「皮膚科」への相談が適していることもあります。まずは、かかりつけの内科医に相談し、そこから必要に応じて、他の専門科へ紹介してもらう、という流れがスムーズでしょう。
大人がかかった場合は「内科」が窓口