手足口病の三主徴の一つである「発疹」。この皮膚症状が、他の症状(発熱や口内炎)に比べて、特に目立つ、あるいは、かゆみや痛みが非常に強く、日常生活に支障をきたしている。あるいは、その見た目が、典型的な手足口病の発疹とは少し違うように見えて、本当に手足口病なのかどうか、診断に確信が持てない。このような場合には、皮膚の病気の専門家である「皮膚科」を受診することが、非常に有効な選択肢となります。皮膚科医は、発疹の性状(形、色、分布、水疱の有無など)を、詳細に観察することに長けており、手足口病と、似たような発疹を示す、他の様々な皮膚疾患とを、正確に鑑別診断してくれます。例えば、手足口病の発疹は、通常、手のひらや足の裏といった、特徴的な場所に現れますが、時に、腕や足、お尻、体幹など、広範囲に出現することもあります。特に、近年流行しているコクサッキーウイルスA6型による手足口病では、発疹が大きく、水疱瘡(みずぼうそう)と見間違えるほど広範囲に多発することがあり、診断が難しいケースも少なくありません。皮膚科医は、このような非典型的な症例にも、多くの経験を持っています。また、水疱瘡との鑑別は非常に重要です。水疱瘡は、発疹が、紅斑から水疱、膿疱、痂皮(かさぶた)へと、時間と共に変化し、新旧の発疹が混在するのが特徴ですが、手足口病の発疹は、かさぶたにならずに消えていくことが多いです。さらに、手足の発疹と同時に、高熱と関節痛がある場合は、「伝染性紅斑(りんご病)」や、他のウイルス性発疹症、あるいは「リウマチ性疾患」の可能性も考慮する必要があります。皮膚科では、これらの疾患を鑑別するための、専門的な知識を持っています。治療の面でも、皮膚科を受診するメリットがあります。かゆみが非常に強い場合には、適切な強さのステロイド外用薬や、かゆみ止めの内服薬を処方してくれます。また、水疱が破れて、細菌による二次感染(とびひなど)を起こしてしまった場合にも、抗生物質の外用薬や内服薬を用いて、的確に治療してくれます。症状が皮膚に集中している場合は、皮膚の専門家である皮膚科医に相談することが、最も的確な診断と、効果的な症状緩和に繋がるのです。
皮膚の発疹がひどい、診断に迷うなら「皮膚科」