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症状で判断!コロナ受診の目安と診療科
新型コロナウイルス感染症の症状は、非常に多様で、人によってその現れ方は様々です。どの診療科を受診すべきか、あるいは、そもそも受診すべきかどうかを判断するためには、自分の症状を冷静に観察し、その重症度を見極めることが重要です。ここでは、症状のパターン別に、適切な受診の目安と、考えられる診療科について解説します。まず、最も一般的なのが、発熱や咳、喉の痛み、鼻水、倦怠感といった「風邪によく似た症状」です。これらの症状が比較的軽く、自宅での安静と水分補給で、十分に体調管理が可能である場合は、必ずしもすぐに医療機関を受診する必要はありません。市販の抗原検査キットで自己検査を行い、陽性であれば、自治体の指示に従って、オンライン診療や、自宅療養者向けのサポートを利用するという選択肢もあります。しかし、症状が重い場合や、高齢者、基礎疾患(糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など)のある方、妊娠中の方といった、重症化リスクの高い方は、軽症であっても、かかりつけの「内科」や「呼吸器内-科」に、まずは電話で相談するのが賢明です。次に、「息苦しさ(呼吸困難)」や「胸の痛み」といった、呼吸器系の症状が強く現れている場合です。少し動いただけでも息が切れる、胸が締め付けられるように痛む、顔色や唇の色が悪い、といった症状は、肺炎が進行している可能性を示す、危険なサインです。この場合は、重症化のリスクが高いため、夜間や休日であっても、救急外来や、自治体の相談センターに連絡し、速やかに受診する必要があります。診療科としては、「呼吸器内-科」が最も専門的ですが、緊急の場合は、総合的な対応が可能な病院の「救急科」が窓口となります。また、「喉の痛みが非常に強く、唾を飲み込むのもつらい」あるいは「声がかすれて出ない」といった、喉の症状が突出している場合は、「耳鼻咽喉科」の受診も有効です。喉頭炎や扁桃炎を併発している可能性があり、専門的な処置が必要となる場合があります。さらに、「味覚障害」や「嗅覚障害」が主な症状である場合も、耳鼻咽喉科が専門領域となります。あなたの症状の「主役」は何か、そして、その「重症度」はどの程度か。それを冷静に見極めることが、適切な医療へと繋がる、正しい第一歩となるのです。
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マイコプラズマの咳はいつまで続く?
コンコン、という乾いた咳から始まり、次第に激しさを増し、夜も眠れないほどのしつこい咳へと変わっていく。マイコプラズマ肺炎と診断された時、多くの人が最も気になるのが、「この、終わりが見えないつらい咳は、一体いつまで続くのだろう」という、切実な疑問でしょう。その答えは、治療の開始時期や、個人の体力、そして合併症の有無によって異なりますが、一般的な経過を知っておくことは、過度な不安を和らげ、安心して治療に専念するために役立ちます。マイコプラズマ感染症の咳には、いくつかの特徴的な段階があります。まず、感染初期には、熱や倦怠感と共に、痰の絡まない「乾いた咳(乾性咳嗽)」が出始めます。この段階で適切な抗菌薬(マクロライド系や、ニューキノロン系など)による治療が開始されれば、咳の症状は比較的速やかに、一週間から十日程度で軽快に向かうことが多いです。しかし、診断が遅れたり、あるいは初期の抗菌薬が効きにくい耐性菌であったりした場合は、咳の症状が長引く傾向にあります。炎症が気管支や肺の奥深くまで広がると、咳はさらに激しくなり、夜間や早朝に、発作のように咳き込むようになります。この時期になると、咳と共に、粘り気のある痰(湿性咳嗽)が出るようになることもあります。この激しい咳のピークは、通常、発症から一週間から二週間程度続きます。そして、適切な治療によって体内の菌が減少し、炎症が治まってくると、咳の頻度や激しさも、徐々に、しかし確実に和らいでいきます。ただし、ここで注意が必要なのが、熱などの他の症状が完全に治まった後も、咳だけが、まるで燃え尽き症候群のように、しばらく残り続けることがある、という点です。これは「感染後咳嗽」と呼ばれ、ウイルスや細菌との戦いでダメージを受けた気道の粘膜が、過敏な状態になっているために起こります。このしつこい咳が、完全に気にならなくなるまでには、時には三週間から、長い人では一ヶ月以上かかることも、決して珍しくありません。つまり、マイコプラズマの咳は、治療が順調に進んだ場合でも、「最低でも二週間、長ければ一ヶ月以上続く可能性のある、しぶとい咳」と、ある程度の覚悟を持って、気長に付き合っていく必要があるのです。
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咳が止まらない!受診のタイミングと何科?
しつこく続く咳。最初は「ただの風邪だろう」と、市販の薬で様子を見ていたものの、一向に良くなる気配がない。それどころか、夜も眠れないほど激しく咳き込むようになった。そんな時、私たちは一体、どのタイミングで、何科の病院を受診すれば良いのでしょうか。その判断を誤ると、治療の開始が遅れ、つらい症状を不必要に長引かせてしまうことになりかねません。まず、病院を受診すべき「タイミング」の目安です。最も分かりやすいのが、「咳が二週間以上、続いている」場合です。通常のウイルス性の風邪による咳は、長くても二週間以内には、改善傾向が見られるのが一般的です。もし、二週間を過ぎても、咳の頻度や強さが変わらない、あるいは悪化しているようであれば、それはもはや「普通の風邪」ではない、マイコプラズマ感染症や、あるいは百日咳、結核、咳喘息といった、別の病気の可能性を、強く疑うべきサインです。また、咳の「質」にも注意が必要です。痰の絡まない乾いた咳が、コンコンと続き、特に夜間や早朝に、発作のように激しく咳き込む、といった特徴的な咳が見られる場合も、マイコプラズマ感染症を疑う、重要な手がかりとなります。さらに、咳に加えて、「三十八度以上の高熱が、数日間続いている」「息苦しさや、胸の痛みを感じる」「咳き込みすぎて、嘔吐してしまう」といった、強い全身症状を伴う場合も、肺炎を起こしている可能性が高いため、できるだけ早く医療機関を受診すべきです。では、何科を受診すれば良いのでしょうか。咳は、呼吸器の症状であるため、最も専門的な診療科は「呼吸器内科」です。しかし、まずは、かかりつけの「内科」や、子供の場合は「小児科」を受診するのが、一般的で、そして最もスムーズな選択肢です。内科や小児科では、問診や聴診に加えて、胸部のレントゲン検査や、血液検査を行うことで、肺炎の有無や、炎症の程度を評価し、マイコプラズマが疑われる場合は、迅速抗原検査や、適切な抗菌薬の処方を行ってくれます。もし、より専門的な検査や治療が必要と判断された場合は、そこから呼吸器内科へと紹介してもらえます。長引く咳は、体が発する重要なSOSサインです。自己判断で放置せず、適切なタイミングで、専門家の診断を仰ぐ勇気を持ってください。
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コロナ後遺症は何科で診てもらうべき?
新型コロナウイルス感染症の急性期の症状が治まり、療養期間も終えた。しかし、それから何週間、何ヶ月経っても、原因不明の体調不良が、まるで霧のように、ずっと晴れない。そんな、長引く「コロナ後遺症」に悩まされている方が、世代を問わず、数多く存在します。その症状は、あまりにも多様で、一人一人、その現れ方が異なります。倦怠感、息切れ、咳、頭痛、集中力や記憶力の低下(ブレインフォグ)、味覚・嗅覚障害、脱毛、そして気分の落ち込み(うつ症状)。これらの、終わりが見えない不調と、どこで、どのように向き合っていけば良いのか。多くの人が、途方に暮れているのが実情です。コロナ後遺症の診療は、まだ発展途上の分野であり、特定の「この科に行けば必ず治る」という、確立されたルートは、残念ながら存在しません。しかし、治療への第一歩として、まず相談すべき窓口は、いくつか考えられます。最も基本的なのは、やはり「かかりつけの内科医」です。急性期の症状から、あなたの体の状態を継続的に把握してくれている、かかりつけ医に、まずは現在のつらい症状を、ありのままに相談してみましょう。医師は、その症状が、本当にコロナ後遺症によるものなのか、あるいは、別の病気(貧血や甲状腺疾患など)が隠れていないかを、血液検査などで鑑別してくれます。そして、症状に応じて、適切な専門科へと繋いでくれる、重要な司令塔の役割を果たしてくれます。例えば、「咳」や「息切れ」が主な症状であれば、「呼吸器内科」へ。「味覚・嗅覚障害」が長引いている場合は、「耳鼻咽喉科」へ。「ブレインフォグ」や「頭痛」に悩まされているなら、「脳神経内科」へ。そして、「気分の落ち込み」や「不眠」が深刻であれば、「精神科」や「心療内科」のサポートが必要となる場合もあります。近年では、これらの複数の診療科が連携して、コロナ後遺症を総合的に診療する「コロナ後遺症外来」を設置する病院も、全国的に増えてきています。お住まいの地域に、そのような専門外来があれば、そこを受診するのが、最もスムーズな選択肢と言えるでしょう。一人で悩まず、まずは、信頼できる医師に、そのつらさを打ち明けること。それが、長いトンネルの出口を探すための、最初の光となるはずです。