会社の健康診断や、人間ドックを受けた結果、「甲状腺の異常」を指摘され、不安に感じている方も多いでしょう。「要精密検査」と書かれていても、自覚症状が全くないと、つい受診を先延ばしにしてしまいがちです。しかし、健康診断での指摘は、自覚症状が現れる前の、ごく初期の段階で、病気を発見できる、非常に貴重な機会です。指摘を受けたら、必ず、医療機関を受診するようにしてください。では、健康診断で異常を指摘された場合、何科を受診すればよいのでしょうか。この場合、最もスムーズで、一般的なのが、かかりつけの「一般内科」を受診することです。多くの場合、健康診断の結果票には、「〇〇内科を受診してください」といった、推奨される診療科が記載されています。内科医は、健康診断の各検査項目の意味を正しく理解しており、あなたの結果が、どの程度の異常であり、どのくらいの緊急性で、精密検査が必要なのかを、適切に判断してくれます。健康診断で指摘される甲状腺の異常には、主に二つのパターンがあります。一つは、「血液検査」でのホルモン値の異常です。甲状腺刺激ホルモン(TSH)や、甲状腺ホルモン(FT4など)の値に異常が見つかった場合です。この場合は、甲状腺機能亢進症や、機能低下症の可能性があり、内科で、より詳細なホルモン検査や、原因となる自己抗体の検査を追加で行います。もう一つが、「頸部超音波(エコー)検査」での、形態的な異常の指摘です。「甲状腺腫大」「甲状腺結節」「甲状腺のう胞」といった所見です。この場合は、甲状腺にしこりや、腫れがあることを意味しており、そのしこりが、良性か悪性かを見極めるための、さらなる精密検査が必要となります。かかりつけの内科医は、これらの結果を総合的に判断し、もし、より専門的な評価や治療が必要であると判断すれば、責任を持って、内分泌内科や、耳鼻咽喉科といった、適切な専門医のいる病院へ、紹介状を書いてくれます。健康診断の結果は、あなたの体が発している、小さな、しかし重要なメッセージです。そのメッセージを無視せず、まずは、最も身近な専門家である、内科医に相談することから始めましょう。