小児科で、「おそらく突発性発疹でしょう」と言われ、高熱と戦うこと3~4日。ようやく熱が下がったのに、待てど暮らせど、特徴的であるはずの「発疹」が、全く出てこない。このようなケースに遭遇すると、保護者としては、新たな不安に駆られることになります。実際に、突発性発疹と診断(推定)されたにもかかわらず、発疹が出ない、ということは、時々起こり得ます。その理由としては、いくつかの可能性が考えられます。まず、最も多いのが、「発疹が非常に軽くて、気づかれなかった」というケースです。典型的な突発性発疹では、お腹や背中を中心に、誰の目にも明らかな発疹が広がりますが、中には、ごくわずかな発疹が、短時間だけ、体の限られた部分に出ただけで、すぐ消えてしまう、非典型的な経過をたどる赤ちゃんもいます。おむつの中や、背中など、保護者が見逃しやすい場所に出ていた可能性も考えられます。次に、突発性発疹の原因ウイルスには、主にヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)と、7型(HHV-7)がありますが、HHV-7による感染の場合は、HHV-6に比べて、発疹が出ない、あるいは非常に軽い「無発疹性」のケースが多い、という報告もあります。しかし、熱が下がった後も発疹が出ず、しかも、赤ちゃんの元気がない、咳や鼻水がひどくなってきた、といった、別の症状が現れてきた場合は、注意が必要です。この場合は、「最初の高熱の原因が、そもそも突発性発疹ではなかった」可能性を考える必要があります。例えば、「アデノウイルス感染症」や、他の多くの「ウイルス性の風邪」でも、高熱が数日間続くことがあります。あるいは、初期段階では診断が難しかった「尿路感染症」などの細菌感染症が、原因であった可能性も否定できません。したがって、熱が下がった後、24時間以上たっても、全く発疹が出現する気配がなく、かつ、赤ちゃんの全身状態に、何か気になる点がある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、必ず、もう一度、診断を受けた小児科を再受診してください。医師は、再度、全身の状態を注意深く診察し、必要であれば、追加の検査(尿検査や血液検査など)を行い、最初の診断が正しかったのかどうかを、再評価してくれます。この再評価が、隠れていた本当の病気を見つけ出す、重要なきっかけとなることもあるのです。
突発性発疹と診断、でも発疹が出ない?病院での再評価