花粉症の季節を乗り切るためには、医療機関で処方される薬に頼るだけでなく、日常生活の中で、自分自身でできるセルフケアを積極的に取り入れることが、症状のコントロールに大きく役立ちます。薬物療法とセルフケアは、花粉症対策の両輪であり、両方を実践することで、より高い効果が期待できます。まず、外出から帰ってきた際に、ぜひ習慣にしてほしいのが「鼻うがい」です。鼻の中に入り込んで、粘膜に付着してしまった花粉や、ハウスダストなどのアレルゲンを、物理的に洗い流すことができる、非常に効果的なセルフケアです。体液に近い濃度の、温かい食塩水(0.9%程度の生理食塩水)を使えば、ツーンとした痛みもなく、快適に行えます。専用の洗浄器具も市販されています。鼻うがいは、鼻粘膜の炎症を鎮め、鼻づまりを改善する効果も期待できます。同様に、目のかゆみがつらい場合は、「目の洗浄」も有効です。ただし、水道水で直接目を洗うのは、涙の成分まで洗い流してしまい、かえって角膜を傷つける可能性があるため、避けるべきです。防腐剤の入っていない、人工涙液タイプの目薬を、少し多めに点眼して、目の中の花粉を洗い流すようにするのが、目に優しい方法です。また、花粉症というアレルギー疾患と上手く付き合っていく上で、土台となるのが「生活習慣の見直し」です。免疫システムが正常に機能するためには、十分な睡眠と、栄養バランスの取れた食事が不可欠です。睡眠不足や、不規則な食生活は、自律神経のバランスを乱し、アレルギー症状を悪化させる原因となります。特に、睡眠中は、体を修復し、免疫機能を整えるための重要な時間です。寝室に空気清浄機を置くなどして、快適な睡眠環境を整えましょう。さらに、「ストレス管理」も、意外と見過ごされがちな、重要なポイントです。過度なストレスは、免疫のバランスを崩し、花粉症の症状を悪化させることが知られています。自分なりのリラックス方法を見つけ、心身ともに、ゆとりのある生活を心がけることが、アレルギーに負けない体質作りへと繋がっていきます。これらの地道なセルフケアの積み重ねが、つらい季節を乗り切るための、確かな力となるのです。
自分でできる花粉症の予防と対策