甲状腺の病気、何科を受診すればよいのか
首の付け根の腫れ、原因不明の動悸や体重減少、あるいは、常に体がだるくてやる気が出ない。これらの、一見すると関連性のないような様々な不調が、実は「甲状腺」という、喉仏の下にある、蝶のような形をした小さな臓器の異常によって引き起こされている可能性があります。甲状腺は、体の新陳代謝をコントロールする「甲状腺ホルモン」を分泌する、非常に重要な内分泌器官です。このホルモンの分泌が、多すぎたり、少なすぎたりすることで、心身に多彩な症状が現れるのです。甲状腺の病気が疑われる時、多くの人が「一体、何科を受診すればいいのだろう?」と、迷ってしまうことでしょう。結論から言うと、甲状腺の病気を専門的に診断・治療する中心的な診療科は、「内分泌内科」「代謝内科」、あるいは、そのまま「甲状腺科」という名称を標榜しているクリニックや病院です。これらの科は、甲状腺ホルモンをはじめとする、体内のホルモンバランスの異常を専門的に扱うエキスパートです。しかし、全ての地域に、これらの専門科が、すぐにアクセスできる場所にあるとは限りません。そのような場合は、まず、最も身近な医療の窓口である「一般内科」を受診することで、全く問題ありません。内科医は、甲状腺疾患の初期診断に必要な、血液検査や、超音波検査を行うことができます。また、首の腫れやしこりが、主な症状である場合は、喉の専門家である「耳鼻咽喉科」も、最初の相談先として適しています。この記事シリーズでは、甲状腺の病気が疑われる、様々な症状から、それぞれの専門診療科の役割、そして、病院で行われる具体的な検査や治療法について、詳しく解説していきます。