突発性発疹の経過の中で、多くの保護者が、高熱そのものよりも、心身ともに疲弊してしまうのが、熱が下がって発疹が出る頃に始まる、赤ちゃんの激しい「不機嫌」です。何をしても泣きやまない、一日中ぐずり続ける、親にべったりで片時も離れない。この「不機嫌病」とも呼ばれる状態は、多くの赤ちゃんに見られる、突発性発疹の、ある意味で特徴的な症状の一つです。原因は、はっきりとは解明されていませんが、数日間の高熱で体力を消耗した後の、全身の倦怠感や不快感が、主な理由と考えられています。言葉でつらさを表現できない赤ちゃんが、「泣く」「ぐずる」という形で、SOSを発信しているのです。この時期、保護者の方は、「どうしてこんなに泣き続けるのだろう」「何か悪い病気なのではないか」と、不安でいっぱいになり、寝不足も相まって、精神的に追い詰められてしまうことも少なくありません。このような時、病院、特に、かかりつけの小児科医は、病気の治療だけでなく、保護者の不安を受け止め、支えてくれる、心強い味方となります。発疹が出て、再受診した際に、「熱が下がってから、ずっと機嫌が悪くて、本当に大変なんです」と、正直に、そのつらさを相談してみてください。医師は、それが突発性発疹の回復期によく見られる現象であることを、専門的な視点から説明してくれます。「多くの赤ちゃんがそうなるんですよ」「病気が治っていく過程だから、心配いりませんよ」「あと数日の辛抱ですよ」といった、医師からの客観的で、共感的な言葉は、保護者の不安を和らげ、「自分だけではないんだ」という安心感を与えてくれます。また、あまりにも機嫌が悪く、夜も眠れないような場合には、まれではありますが、赤ちゃんの不快感を和らげるための、穏やかな鎮静作用のある薬(抗ヒスタミン薬など)の処方を、検討してくれることもあります。さらに、医師や看護師から、「今は、できるだけ赤ちゃんの要求に応えて、たくさん抱っこしてあげてくださいね」「家事も完璧にやろうとせず、赤ちゃんと一緒に、お昼寝してくださいね」といった、具体的なアドバイスをもらうことで、保護者自身も、「今はこれで良いんだ」と、肩の力を抜くことができます。病院は、病気を治すだけの場所ではありません。育児における不安や悩みを、専門家と共有し、サポートを受けるための、重要な場所でもあるのです。