朝起きた時に、顔、特に「まぶた」がパンパンに腫れぼったく、むくんでいる。そして、足のむくみもひどく、尿の量が減った、あるいは、尿が異常に泡立つ(蛋白尿)といった症状に気づいたら、それは、血液を濾過して老廃物を排出するフィルターである「腎臓」の機能に、何らかの異常が生じているサインかもしれません。このような症状が見られる場合に、受診すべき専門診療科は「腎臓内科」です。腎臓の主な働きの一つは、体内の水分と塩分(ナトリウム)のバランスを、尿の量を調節することによって、一定に保つことです。しかし、腎臓の機能が低下すると、余分な塩分と水分を、十分に体外へ排出することができなくなり、体内に溜め込んでしまいます。これが、腎臓病によるむくみの基本的なメカニズムです。また、腎臓病の中には、「ネフローゼ症候群」と呼ばれる、腎臓のフィルター機能を持つ「糸球体」という部分に穴が空いてしまい、血液中の大切なタンパク質(特にアルブミン)が、大量に尿中へ漏れ出てしまう病態があります。血液中のアルブミンは、血管内に水分を保持する「膠質浸透圧」という力を生み出しています。このアルブミンが減少すると、血管内の水分が、外の組織へ漏れ出しやすくなり、全身に非常に強いむくみを引き起こします。腎臓病によるむくみの特徴は、心不全と同様に「圧痕性浮腫」であり、比較的、柔らかい組織である、顔やまぶたに、症状が顕著に現れやすいことです。腎臓内科では、まず「尿検査」と「血液検査」を詳細に行います。尿検査では、蛋白尿や血尿の有無とその程度を、血液検査では、腎機能の指標である「血清クレアチニン」や「BUN(尿素窒素)」の値、そして「血清アルブミン」の値を測定します。これらの結果から、腎臓のどの部分に、どのような問題が起きているのかを推測します。原因をさらに詳しく調べるためには、超音波検査やCT検査、そして確定診断のために、腎臓の組織の一部を針で採取して調べる「腎生検」という精密検査が行われることもあります。腎臓病は、「沈黙の臓器」とも言われ、自覚症状が出た時には、すでに病状がかなり進行していることも少なくありません。むくみと尿の異常は、腎臓が発する数少ないSOSサインです。見逃さずに、専門医の診察を受けてください。
顔やまぶたのむくみ、尿の異常があれば「腎臓内科」