一度、溶連菌感染症のつらい症状を経験すると、「もう二度とかかりたくない」と、心から思うことでしょう。また、自分が感染源となって、子どもやパートナーにうつしてしまうことも避けたいものです。溶連菌の再発予防と、家庭内での感染拡大を防ぐためには、その感染経路を理解し、日々の生活の中で、適切な対策を講じることが重要です。まず、溶連菌は、一度かかっても、免疫が十分につかないため、何度も「再感染」する可能性がある、ということを知っておく必要があります。特に、溶連菌には多くの血清型(タイプ)が存在するため、異なるタイプの菌に、繰り返し感染することがあるのです。再発を防ぐための、最も基本的な対策は、一般的な風邪の予防と同じく、「免疫力を高く保つ」ことです。日頃から、十分な睡眠と、バランスの取れた食事を心がけ、過労やストレスを溜め込まないようにすることが、細菌に対する抵抗力を維持する上で、何よりも大切です。次に、家庭内での感染対策です。溶連菌の主な感染経路は、咳やくしゃみのしぶきに含まれる菌を吸い込む「飛沫感染」と、菌が付着した手で、口や鼻に触れることによる「接触感染」です。家族の誰かが発症した場合、これらの経路を断つことが、感染拡大防止の鍵となります。感染者は、症状がある間、特に咳が出る場合は、できるだけ「マスクを着用」しましょう。そして、家族全員が、石鹸と流水による「手洗い」を、徹底することが非常に重要です。特に、食事の前や、トイレの後、そして感染者の看病をした後は、必ず手を洗う習慣をつけましょう。アルコール消毒も、補助的に有効です。また、「タオルの共用」は、接触感染の大きなリスクとなります。洗面所や浴室のタオルは、個人別に分け、こまめに洗濯するようにしてください。感染者が使ったコップや箸、食器なども、共有は避け、使用後はすぐに洗浄しましょう。キスや、食べ物の口移しなども、当然ながら感染の原因となります。特に、小さな子どもがいる家庭では、親が感染源となって、子どもにうつしてしまうケースも少なくありません。大人が、喉の痛みや発熱といった、溶連菌を疑う症状を感じた場合は、安易に自己判断せず、早期に医療機関を受診し、診断を確定させ、抗生物質による治療を開始することが、家庭内での感染の連鎖を断ち切るための、最も確実で、責任ある行動と言えるでしょう。