新型コロナウイルス感染症の急性期の症状が治まり、療養期間も終えた。しかし、それから何週間、何ヶ月経っても、原因不明の体調不良が、まるで霧のように、ずっと晴れない。そんな、長引く「コロナ後遺症」に悩まされている方が、世代を問わず、数多く存在します。その症状は、あまりにも多様で、一人一人、その現れ方が異なります。倦怠感、息切れ、咳、頭痛、集中力や記憶力の低下(ブレインフォグ)、味覚・嗅覚障害、脱毛、そして気分の落ち込み(うつ症状)。これらの、終わりが見えない不調と、どこで、どのように向き合っていけば良いのか。多くの人が、途方に暮れているのが実情です。コロナ後遺症の診療は、まだ発展途上の分野であり、特定の「この科に行けば必ず治る」という、確立されたルートは、残念ながら存在しません。しかし、治療への第一歩として、まず相談すべき窓口は、いくつか考えられます。最も基本的なのは、やはり「かかりつけの内科医」です。急性期の症状から、あなたの体の状態を継続的に把握してくれている、かかりつけ医に、まずは現在のつらい症状を、ありのままに相談してみましょう。医師は、その症状が、本当にコロナ後遺症によるものなのか、あるいは、別の病気(貧血や甲状腺疾患など)が隠れていないかを、血液検査などで鑑別してくれます。そして、症状に応じて、適切な専門科へと繋いでくれる、重要な司令塔の役割を果たしてくれます。例えば、「咳」や「息切れ」が主な症状であれば、「呼吸器内科」へ。「味覚・嗅覚障害」が長引いている場合は、「耳鼻咽喉科」へ。「ブレインフォグ」や「頭痛」に悩まされているなら、「脳神経内科」へ。そして、「気分の落ち込み」や「不眠」が深刻であれば、「精神科」や「心療内科」のサポートが必要となる場合もあります。近年では、これらの複数の診療科が連携して、コロナ後遺症を総合的に診療する「コロナ後遺症外来」を設置する病院も、全国的に増えてきています。お住まいの地域に、そのような専門外来があれば、そこを受診するのが、最もスムーズな選択肢と言えるでしょう。一人で悩まず、まずは、信頼できる医師に、そのつらさを打ち明けること。それが、長いトンネルの出口を探すための、最初の光となるはずです。