毎年2月になると、私の体は正直に季節の訪れを告げ始めます。朝起きると連発するくしゃみ、蛇口が壊れたかのように流れ出る鼻水、そしてティッシュが手放せなくなる鼻づまり。長年の付き合いになる、スギ花粉症の始まりの合図です。若い頃は市販薬でなんとかごまかしていましたが、30代を過ぎたあたりから症状は年々悪化。特に鼻づまりは夜の眠りを妨げるほど深刻で、仕事の集中力も著しく低下させていました。耐えかねた私は、意を決して専門医の力を借りることにしました。まず向かったのは、鼻症状の専門家である「耳鼻咽喉科」です。会社の近くにあるクリニックのドアを叩くと、同じような悩みを抱える患者さんで待合室はあふれていました。診察室で症状を伝えると、医師は細いカメラで私の鼻の内部を観察。「ああ、これは真っ赤に腫れていますね。典型的なアレルギー性鼻炎です」との診断でした。処方されたのは、眠気の少ないタイプの抗アレルギー薬の飲み薬と、即効性のある血管収縮剤入りの点鼻薬、そして炎症を抑えるステロイド点鼻薬の3種類。特にステロイド点鼻薬は、毎日続けることで鼻の粘膜の過敏さを根本から抑える効果があるとの説明を受けました。耳鼻咽喉科の治療で、あれほどひどかった鼻水と鼻づまりは劇的に改善しました。これで快適な春を過ごせる、と喜んだのも束の間。今度は、目のかゆみが私を襲い始めたのです。それはもう、尋常ではないかゆみで、目玉を取り出して洗いたくなるほど。処方された飲み薬は目の症状にも効くはずですが、私の場合は効果が限定的でした。我慢できずに目をこすってしまい、白目は真っ赤に充血。これではいけないと、今度は「眼科」へ駆け込みました。眼科医は私の目を見るなり、「アレルギー性結膜炎ですね。かなり強く炎症が起きています」と診断。処方されたのは、かゆみを抑える抗ヒスタミン点眼薬と、炎症を強力に抑えるステロイド点眼薬でした。このステロイド点眼薬の効果は絶大で、数日ですっかりかゆみは治まりました。結果的に、私は耳鼻科と眼科、二つの診療科を受診することになりましたが、それぞれの専門医に診てもらったことで、最もつらい症状に的を絞った効果的な治療を受けられたと感じています。