しつこく続く咳。最初は「ただの風邪だろう」と、市販の薬で様子を見ていたものの、一向に良くなる気配がない。それどころか、夜も眠れないほど激しく咳き込むようになった。そんな時、私たちは一体、どのタイミングで、何科の病院を受診すれば良いのでしょうか。その判断を誤ると、治療の開始が遅れ、つらい症状を不必要に長引かせてしまうことになりかねません。まず、病院を受診すべき「タイミング」の目安です。最も分かりやすいのが、「咳が二週間以上、続いている」場合です。通常のウイルス性の風邪による咳は、長くても二週間以内には、改善傾向が見られるのが一般的です。もし、二週間を過ぎても、咳の頻度や強さが変わらない、あるいは悪化しているようであれば、それはもはや「普通の風邪」ではない、マイコプラズマ感染症や、あるいは百日咳、結核、咳喘息といった、別の病気の可能性を、強く疑うべきサインです。また、咳の「質」にも注意が必要です。痰の絡まない乾いた咳が、コンコンと続き、特に夜間や早朝に、発作のように激しく咳き込む、といった特徴的な咳が見られる場合も、マイコプラズマ感染症を疑う、重要な手がかりとなります。さらに、咳に加えて、「三十八度以上の高熱が、数日間続いている」「息苦しさや、胸の痛みを感じる」「咳き込みすぎて、嘔吐してしまう」といった、強い全身症状を伴う場合も、肺炎を起こしている可能性が高いため、できるだけ早く医療機関を受診すべきです。では、何科を受診すれば良いのでしょうか。咳は、呼吸器の症状であるため、最も専門的な診療科は「呼吸器内科」です。しかし、まずは、かかりつけの「内科」や、子供の場合は「小児科」を受診するのが、一般的で、そして最もスムーズな選択肢です。内科や小児科では、問診や聴診に加えて、胸部のレントゲン検査や、血液検査を行うことで、肺炎の有無や、炎症の程度を評価し、マイコプラズマが疑われる場合は、迅速抗原検査や、適切な抗菌薬の処方を行ってくれます。もし、より専門的な検査や治療が必要と判断された場合は、そこから呼吸器内科へと紹介してもらえます。長引く咳は、体が発する重要なSOSサインです。自己判断で放置せず、適切なタイミングで、専門家の診断を仰ぐ勇気を持ってください。
咳が止まらない!受診のタイミングと何科?