新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が現れ、病院へ行くことを決めた。電話で相談し、発熱外来の予約も取れた。しかし、いざ受診となると、動揺してしまって、医師に症状をうまく伝えられなかったり、必要なものを忘れてしまったりすることがあります。限られた診察時間の中で、スムーズに、そして的確な診断と治療を受けるためには、受診「前」の、ほんの少しの準備が、非常に大きな役割を果たします。ここでは、コロナが疑われる際に、病院へ行く前に準備しておくべきことを、具体的に解説します。まず、最も重要なのが、「自分の症状の経過を、時系列で整理しておく」ことです。医師が、あなたの状態を把握するために、必ず質問するであろう項目について、簡単なメモに書き出しておきましょう。具体的には、①「いつから、どんな症状が始まったか」(例:昨日の夜から、38度の熱と喉の痛み)。②「症状は、どのように変化したか」(例:今朝から咳が出始め、熱は38.5度に上がった)。③「周囲の感染状況」(例:職場の同僚が、3日前からコロナで休んでいる)。④「基礎疾患や、アレルギー、内服中の薬の有無」。⑤「ワクチン接種歴」(何回、いつ頃接種したか)。これらの情報を、紙に書いて持参するだけで、問診は驚くほどスムーズに進みます。次に、「持参すべきもの」の確認です。まず、「健康保険証」と「診察券(かかりつけ医の場合)」は、絶対に忘れてはなりません。そして、もし服用中の薬があれば、「お薬手帳」も必ず持参してください。また、自治体によっては、受診の際に、身分証明書(運転免許証など)の提示を求められる場合もあります。そして、感染対策として、「不織布マスク」を正しく着用し、予備のマスクも数枚、カバンに入れておくと安心です。ハンカチやティッシュ、そして手指消毒用のアルコールジェルも、必需品と言えるでしょう。医療機関によっては、支払い方法が現金のみの場合もあるため、ある程度の現金も用意しておくと万全です。これらの準備は、決して難しいことではありません。しかし、体調が悪く、不安な状況だからこそ、こうした事前の準備が、あなたの心に少しの余裕を生み出し、医師との円滑なコミュニケーションを助け、結果的に、あなた自身が、より安心して、適切な医療を受けるための、確かな土台となるのです。