患者と家族のための医療サポート情報集

2026年1月
  • 健康診断で腎臓の異常を指摘されたら何科へ?

    医療

    年に一度の健康診断。結果の通知が届き、全ての項目が基準値内であることを確認してほっとする、というのが理想ですが、時に思わぬ項目に「要再検査」や「要精密検査」の文字が見つかることがあります。特に、腎臓に関する項目、例えば尿検査の「尿蛋白」や「尿潜血」、血液検査の「クレアチニン(Cr)」や「eGFR」といった数値に異常が見つかった場合、自覚症状が全くないと、つい「たいしたことはないだろう」と放置してしまいがちです。しかし、これは腎臓から送られてきた非常に重要なメッセージであり、決して軽視してはなりません。では、このような健康診断の結果を受けて、まず向かうべき診療科はどこなのでしょうか。その答えは、明確に「腎臓内科」です。なぜなら、これらの検査数値の異常は、腎臓の最も重要な役割である「血液のろ過機能」に何らかのトラブルが生じている可能性を示唆しているからです。尿蛋白が陽性ということは、本来なら体内に留めておくべきたんぱく質が、フィルターの役目を果たしている腎臓の糸球体から漏れ出している証拠です。クレアチニン値の上昇や、それを基に計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)の低下は、腎臓が老廃物を十分に排泄できていない状態、つまり腎機能が低下していることを直接的に示しています。腎臓内科の専門医は、これらの数値を基に、なぜ腎機能が低下しているのか、その背景にある原因(高血圧、糖尿病、慢性腎炎など)を詳細に探り、腎臓の機能がこれ以上悪化しないようにするための専門的な治療を行います。受診する際には、必ず健康診断の結果表を持参しましょう。可能であれば、過去数年分の結果があると、数値がどのように変化してきたのかという「推移」を見ることができ、診断の大きな助けになります。また、現在服用している薬があれば、お薬手帳も忘れずに持参してください。薬の中には腎臓に影響を与えるものもあるため、これも重要な情報となります。自覚症状がないからこそ、早期発見・早期治療が何よりも重要なのが腎臓病です。健康診断という貴重な機会を無駄にせず、異常を指摘されたら、速やかに腎臓内科の専門医に相談してください。

  • 病院から見た再診の重要性と医療の質

    医療

    患者さんにとって再診は「治療の続き」ですが、医療を提供する病院や医師の側から見ると、再診は質の高い医療を継続的に提供するための根幹をなす、極めて重要なプロセスです。初診が病気という山の麓で登頂ルートを探す作業だとすれば、再診は実際に山を登りながら、地図とコンパスで現在地を確認し、天候の変化に応じてルートを微調整していく作業に例えられます。この地道な確認と修正の繰り返しがなければ、安全に山頂、すなわち病気の快方や安定というゴールにたどり着くことはできません。医師が再診の診察で最も重視しているのは、治療計画の評価と修正、すなわち「PDCAサイクル」を回すことです。初診時に立てた治療計画(Plan)に基づいて投薬などの治療を行い(Do)、再診時にその効果や副作用を患者さんの訴えや検査データから評価(Check)し、必要があれば薬の種類や量、生活指導の内容を修正する(Action)。このサイクルを繰り返すことで、一人ひとりの患者さんに合わせた、より最適化されたオーダーメイドの医療が実現します。例えば、高血圧の治療では、最初に処方した薬が効果不十分であったり、副作用が出たりすることがあります。再診でそれを把握し、別の薬に変更したり、量を調整したりすることで、より良い血圧コントロールを目指すことができるのです。また、再診は患者さんとの信頼関係を構築し、深めていく上でも欠かせません。定期的に顔を合わせ、対話を重ねる中で、患者さんの生活背景や価値観、病気に対する不安などを理解することができます。これにより、単に病気を診るだけでなく、その人全体をサポートする「全人的医療」へとつながっていきます。さらに、再診は医療安全の観点からも重要です。定期的な診察は、病状の悪化や新たな合併症の兆候を早期に発見する機会となります。糖尿病の患者さんの足にできた小さな傷を再診時に発見し、重篤な壊疽に至るのを防いだり、定期的な血液検査で薬による肝機能障害の兆候をいち早く捉えたりするケースは少なくありません。このように、一見すると地味な繰り返しのようにも見える再診ですが、その一つ一つが、医療の質と安全性を担保するための大切なステップとなっているのです。

  • 腎臓内科と泌尿器科、どう違う?二つの専門科の役割

    医療

    「腎臓」という一つの臓器を対象としながら、「腎臓内科」と「泌尿器科」という二つの診療科が存在することに、疑問を感じる方もいるかもしれません。しかし、この二つの科は、同じ臓器に対して全く異なるアプローチで向き合う、それぞれに専門性を持った診療科なのです。その違いを車のメンテナンスに例えてみると、非常に分かりやすくなります。まず「腎臓内科」は、例えるなら「エンジン専門のメカニック」です。車の心臓部であるエンジンの性能を維持し、内部のコンディションを最適に保つのが仕事です。具体的には、エンジンオイル(血液)の状態をチェックし、汚れていればその原因を探り、ろ過フィルター(腎臓の糸球体)が目詰まりしないように調整します。腎臓内科が扱うのは、慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎、糖尿病性腎症といった、腎臓の”機能”そのものに関わる内科的な疾患です。治療の中心は、薬物療法(降圧薬、利尿薬など)、食事療法(塩分・たんぱく質制限など)、生活習慣の指導といった、いわば内部からのチューニングです。そして、エンジンが寿命を迎えそうになった時には、透析療法という究極のメンテナンスを管理します。一方、「泌尿器科」は、例えるなら「車のボディや配管を修理する板金・整備工」です。こちらは、車の物理的なトラブルに対応します。ラジエーターに石が詰まってオーバーヒートしたり(尿路結石)、燃料タンクに腫瘍ができたり(腎臓がん、膀胱がん)、配管が細菌感染で炎症を起こしたり(腎盂腎炎)といった、”形”や”構造”に関する問題、外科的な処置が必要となる可能性のある病気を扱います。治療法も、手術で腫瘍を取り除いたり、内視鏡や衝撃波で結石を砕いたり、抗生物質で感染を叩いたりと、物理的・直接的なアプローチが中心となります。このように、腎臓内科は「機能(中身)」を、泌尿器科は「器質(かたち)」を診る専門家なのです。もちろん、両者は密接に連携しています。泌尿器科で腎臓がんの手術をした患者さんの術後の腎機能管理を腎臓内科が行ったり、腎臓内科で原因不明の血尿が見つかった場合に、がんの有無を調べるために泌尿器科に紹介したりと、互いの専門性を尊重し合いながら、患者さんの腎臓を多角的に守っているのです。

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