あの日、私はいつものように朝の光の中で目を覚ましましたが、枕から頭を上げようとした瞬間に右側の首筋に経験したことのないような衝撃が走りました。首を少しでも右に向けようとすると、まるで火箸で突かれたような鋭い痛みが肩甲骨のあたりまで突き抜け、冷や汗が止まりませんでした。これまでも何度か寝違えを経験したことはありましたが、今回の痛みは明らかに質が異なっていました。当初は「二、三日もすれば治るだろう」と安易に考え、市販の湿布を貼って静かに過ごしていましたが、三日が経過しても症状は一向に改善するどころか、次第に右手の指先にまでピリピリとした痺れのような感覚が現れ始めたのです。この「しびれ」という感覚に、私は強い恐怖を覚えました。首の痛みだけであれば筋肉の問題だと思えましたが、指先まで影響が出ているということは、身体の根幹である神経に何かが起きているのではないかと直感したからです。私はついに、近所にある評判の良い整形外科クリニックを受診することを決意しました。病院の待合室で待っている間も、首を真っ直ぐに保つことさえ苦痛で、少しの振動にも身体が強張るような状態でした。診察室に入ると、先生は私の座り方や歩き方をじっくりと観察し、首の動きを数ミリ単位でチェックしてくれました。その後、レントゲン撮影を行い、戻ってきた診察室で先生が見せてくれた画像には、私の首の骨の一部が不自然に狭まっている様子が写し出されていました。先生の説明によれば、私の症状は単なる筋肉の寝違えではなく、頚椎の隙間にある椎間板が神経を圧迫し始めている「頚椎症性神経根症」の疑いがあるとのことでした。長年のデスクワークによる姿勢の悪さが蓄積し、今回の寝違えが引き金となって表面化したというのです。その場で痛みと炎症を抑えるための注射を打ってもらい、専用の首を固定するカラーを装着してもらうと、あんなに絶望的だった痛みが少しずつ現実的なものへと和らいでいくのを感じました。もし、あの時「ただの寝違えだから」と意地を張って病院に行かずに放置していたら、神経のダメージはさらに進行し、手術が必要になっていたかもしれません。病院の門を叩くまでは「大げさだと思われたらどうしよう」という恥ずかしさもありましたが、専門医の先生に「これは我慢するレベルの痛みではありませんよ」と言われたことで、精神的にも非常に救われました。その後、数週間のリハビリと内服治療を経て、今では首の痛みも痺れも完全に消え去り、正しい姿勢を意識した生活を送っています。首に寝違えたような違和感や痛みを感じたとき、それが「何科」に行くべきかを迷っている時間は、実は最も危険な時間なのかもしれません。自分の感覚を信じ、少しでも「いつもと違う」と感じたならば、すぐに整形外科というプロの助けを借りることの大切さを、私はこの激痛の記憶とともに深く胸に刻んでいます。