定期的に通っているかかりつけの病院で、いつもと違う症状が出た時、「これは再診でいいのかな?」と迷うことがあります。例えば、高血圧で毎月内科に通院している人が、ある日突然、ぎっくり腰になってしまい、同じ病院の整形外科にかかるとします。この場合、受診は初診扱いになるのでしょうか、それとも再診扱いになるのでしょうか。この疑問を解く鍵は、「傷病名」と「診療科」にあります。日本の医療保険制度の原則では、初診か再診かの判断は「同一の傷病」に対する治療が継続しているかどうかに基づきます。先の例で言えば、「高血圧」と「ぎっくり腰(急性腰痛症)」は、全く異なる傷病です。したがって、たとえ同じ病院であっても、整形外科でのぎっくり腰の治療は、新たな傷病に対する新たな診療の開始と見なされ、「初診」として扱われるのが基本です。この時、整形外科で初診料が算定されます。そして、いつものように内科で高血圧の診察を受ければ、そちらは継続治療なので「再診」として再診料が算定されます。このように、一日のうちに同じ病院内の複数の診療科を受診し、それぞれで初診料や再診料が算定されることは、ルール上、全く問題ありません。ただし、これにはいくつかの例外や少し複雑なルールも存在します。例えば、糖尿病の合併症として腎臓の具合が悪くなり、内科から腎臓内科へ紹介されたような場合、これらは密接に関連する傷病と見なされ、全体として一連の治療と判断されることもあります。また、歯科は医科とは別の扱いとなるため、内科に通院中の人が同じ病院の歯科にかかる場合は、歯科で必ず初診料が算定されます。患者さんにとって大切なのは、「同じ病院だから全部再診」というわけではないと理解しておくことです。異なる症状で受診する際は、それは新たな病気の始まりかもしれないと考え、受付で「今日はいつもの〇〇ではなく、△△の症状で来ました」と明確に伝えることが、スムーズな会計と適切な診療につながります。医師も、新たな症状に対しては、先入観なく一から診察を行う必要があるため、この区別は医療の質を保つ上でも非常に重要なのです。