全ての始まりは、月曜日の朝に感じた、喉の奥の、ほんの些細なイガイガ感でした。その時は、週末の疲れが出たのだろうと、軽く考えていました。しかし、その日の午後、オフィスで仕事をしていると、体の芯から、ゾクゾクとした悪寒が走り始め、関節の節々が、まるで軋むように痛み出したのです。体温を測ると、三十八度二分。これは、ただの風邪ではない。そう直感した私は、早退させてもらい、自宅で抗原検査キットを試しました。結果は、くっきりと浮かび上がった、二本の線。「陽性」でした。頭が真っ白になりました。ついに、自分も感染してしまったのか。これから、どうすればいいのだろう。幸い、私には、近所にかかりつけの内科クリニックがありました。すぐに電話をかけ、陽性であったことと、症状を伝えると、受付の方は、非常に落ち着いた声で、「午後の発熱外来の時間に、来てください。到着したら、中には入らず、クリニックの裏手にある駐車場から、もう一度お電話ください」と、具体的な指示をくれました。その言葉に、私は少しだけ、冷静さを取り戻すことができました。指定された時間、車でクリニックの駐車場に着き、電話をかけると、数分後、完全防備の看護師さんが出てきて、車に乗ったまま、鼻の奥に、あの痛い検査(PCR検査)をしてくれました。そして、医師とは、車の中から、スマートフォンのビデオ通話で診察が行われました。「症状は、今のところ軽症ですね。解熱剤と咳止めを出しておきますから、自宅で安静にして、何か異変があったら、すぐに連絡してください」。その、画面越しの、穏やかで、しかし力強い言葉に、私は心から安堵しました。薬局も、ドライブスルー形式で、車から降りずに薬を受け取ることができました。それからの数日間、私は高熱と、ガラスの破片を飲み込むような喉の痛みに苦しみました。しかし、あの時、最初にパニックにならず、かかりつけ医に電話をし、整備された発熱外来のシステムの中で、スムーズに診察と治療へと繋がれたことが、自宅療養中の、大きな心の支えとなりました。医療従事者の方々が、自らの感染リスクと戦いながら、私たちのために、このような体制を築いてくれている。その事実への感謝の念を、私は決して忘れることはないでしょう。
私がコロナに感染し発熱外来を受診した話