ひどいむくみで、どの専門科を受診すればよいか全く見当がつかない。そんな時、最初に扉を叩くべき、最も信頼できる相談窓口が「一般内科」または「総合診療科」です。これらの科の医師は、特定の臓器に専門が偏ることなく、全身を総合的に診るトレーニングを積んでいます。むくみという症状の背後には、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺、血管、栄養状態など、実に様々な要因が関わっている可能性があるため、この「総合的な視点」こそが、原因を突き止めるための、最初の、そして最も重要なステップとなるのです。一般内科や総合診療科を受診すると、医師はまず、非常に詳細な「問診」から診察を始めます。いつから、体のどこがむくんでいるのか、むくみ以外の症状(息切れ、体重増加、尿の異常、だるさなど)はないか、過去の病歴や、現在服用中の薬、そして食生活や飲酒歴といった、生活習慣に至るまで、詳しく聞き取ります。この問診が、原因を絞り込むための、極めて重要な手がかりとなります。次に、「身体診察」です。医師は、むくんでいる部分を指で押し、その跡がしばらく残るかどうか(圧痕性浮腫)を確認します。これは、心臓や腎臓、肝臓の病気でよく見られる所見です。また、聴診器で心臓や肺の音を聞き、心不全の兆候がないか、首の静脈が張っていないか、腹水が溜まっていないかなどを、注意深く診察します。そして、診断を確定させるために、いくつかの基本的な「検査」が行われます。まず、「血液検査」では、腎臓の機能を示すクレアチニンやBUN、肝臓の機能を示すASTやALT、そして体内のタンパク質の量(特にアルブミン)などを測定します。また、心臓への負担の度合いを示すBNPや、甲状腺ホルモンの値も、重要な指標となります。「尿検査」では、尿中にタンパク質が漏れ出ていないか(蛋白尿)を調べます。これは、腎臓病の重要なサインです。これらの問診、診察、そして基本的な検査結果を総合的に判断し、医師はむくみの原因をある程度推測します。そして、もし心臓病が強く疑われれば「循環器内科」へ、腎臓病が疑われれば「腎臓内科」へ、といったように、最も適切と考えられる専門科への、スムーズな橋渡し(紹介)をしてくれます。何科に行けばいいか迷ったら、まずは内科の専門家に、診断への道筋をつけてもらう。これが、最も賢明で、安全な選択です。