年に一度の健康診断。結果の通知が届き、全ての項目が基準値内であることを確認してほっとする、というのが理想ですが、時に思わぬ項目に「要再検査」や「要精密検査」の文字が見つかることがあります。特に、腎臓に関する項目、例えば尿検査の「尿蛋白」や「尿潜血」、血液検査の「クレアチニン(Cr)」や「eGFR」といった数値に異常が見つかった場合、自覚症状が全くないと、つい「たいしたことはないだろう」と放置してしまいがちです。しかし、これは腎臓から送られてきた非常に重要なメッセージであり、決して軽視してはなりません。では、このような健康診断の結果を受けて、まず向かうべき診療科はどこなのでしょうか。その答えは、明確に「腎臓内科」です。なぜなら、これらの検査数値の異常は、腎臓の最も重要な役割である「血液のろ過機能」に何らかのトラブルが生じている可能性を示唆しているからです。尿蛋白が陽性ということは、本来なら体内に留めておくべきたんぱく質が、フィルターの役目を果たしている腎臓の糸球体から漏れ出している証拠です。クレアチニン値の上昇や、それを基に計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)の低下は、腎臓が老廃物を十分に排泄できていない状態、つまり腎機能が低下していることを直接的に示しています。腎臓内科の専門医は、これらの数値を基に、なぜ腎機能が低下しているのか、その背景にある原因(高血圧、糖尿病、慢性腎炎など)を詳細に探り、腎臓の機能がこれ以上悪化しないようにするための専門的な治療を行います。受診する際には、必ず健康診断の結果表を持参しましょう。可能であれば、過去数年分の結果があると、数値がどのように変化してきたのかという「推移」を見ることができ、診断の大きな助けになります。また、現在服用している薬があれば、お薬手帳も忘れずに持参してください。薬の中には腎臓に影響を与えるものもあるため、これも重要な情報となります。自覚症状がないからこそ、早期発見・早期治療が何よりも重要なのが腎臓病です。健康診断という貴重な機会を無駄にせず、異常を指摘されたら、速やかに腎臓内科の専門医に相談してください。