冬の寒い季節、高熱とともに太ももが鉛のように重くなり、激しい筋肉痛に襲われると、多くの人は「これはインフルエンザだろう」と想像します。確かに、インフルエンザウイルスが体内で増殖する際、免疫細胞が放出する「インターロイキン」などのサイトカインは、痛みを脳に伝える神経を過敏にさせ、全身の、特に大きな筋肉である太ももに強い痛みを生じさせます。しかし、医療ブログの書き手として私が強調したいのは、熱と太ももの痛みがセットで現れる現象は、インフルエンザ以外の「招かれざる客」によっても引き起こされるという事実です。例えば、アデノウイルスやパルボウイルスといった、夏から秋にかけて流行するウイルスも、激しい筋肉痛と発熱の組み合わせを得意としています。特に成人女性がパルボウイルス(リンゴ病の原因ウイルス)に感染すると、顔が赤くなる代わりに、太ももや手首の激しい関節痛・筋肉痛と発熱が数週間続くことがあり、リウマチと見分けがつきにくいケースが多々あります。また、海外渡航歴がある場合や特定の環境下にいた場合には、レプトスピラ症などの特殊な細菌感染症も候補に挙がります。これはネズミなどの尿に含まれる菌が皮膚から侵入する病気で、高熱とともにふくらはぎや太ももに触れられないほどの激痛が走るのが特徴です。さらに、身近なところでは「薬剤」が原因となることもあります。脂質異常症の薬(スタチン系)を服用している人が、ウイルス感染をきっかけに副作用が強く現れ、熱と太ももの痛みを発症する事例も報告されています。このようなとき、私たちが自宅でできることは、まず「水分補給」と「色のチェック」です。尿の色が紅茶やコーラのように濃くなっていないかを確認してください。もし濃くなっているならば、それは筋肉の成分が壊れて腎臓に負担をかけている「横紋筋融解症」のサインかもしれません。熱があるときの筋肉痛は、単なる随伴症状として片付けられがちですが、身体の内部では、タンパク質の変性や電解質の不均衡といった微細な化学変化が嵐のように吹き荒れています。太ももの痛みは、その嵐の激しさを教えてくれるバロメーターです。十分な睡眠をとり、栄養を摂取しても痛みが引かないとき、あるいは局所的な熱感が加わったときは、それはもはや「風邪の筋肉痛」ではありません。自分の体質や過去の病歴、現在飲んでいる薬を含めて医師に相談し、隠れた原因を一掃することが、再び軽やかな足取りを取り戻すための唯一の道なのです。
インフルエンザだけではない熱と筋肉痛の意外な関係