トイレが近い、尿の回数が多いと感じたとき、それが一時的なものなのか、あるいは糖尿病のような深刻な疾患が隠れているのかを見極めることは、自身の健康管理において非常に重要です。頻尿の原因は多岐にわたりますが、糖尿病由来のものにはいくつかの際立った特徴があります。まず第一に注目すべきは「排出される尿の総量」です。過活動膀胱や神経性頻尿の場合、尿意を頻繁に感じても、実際に出る尿の量は一回あたりごくわずかであることが一般的です。一方、糖尿病による頻尿は、血中の過剰な糖を排出するために大量の水分が動員されるため、一回あたりの量もしっかりとあり、一日の総尿量が二・五リットルから三リットルを超えることも珍しくありません。いわば「頻尿」であると同時に「多尿」である点が、糖尿病を見分ける最大のポイントとなります。第二に、随伴する症状の有無を確認してください。糖尿病による頻尿には、ほぼ確実に「異常な喉の渇き(口渇)」が伴います。尿で水分を出しすぎるため、身体が深刻な水不足に陥るからです。夜中にトイレに起きる際、同時に水を飲みたくなってキッチンへ向かうような習慣がある場合は警戒が必要です。また、食事量は変わらない、あるいは増えているのに体重が減っていくという減少も、糖尿病特有の兆候です。これはインスリンの働きが悪くなり、糖をエネルギーとして利用できなくなった身体が、自身の脂肪や筋肉を燃やして代用しようとするために起こります。第三に、尿の状態そのものを観察しましょう。糖尿病の尿は、糖分が含まれるために粘り気を帯びることがあり、トイレの便器内に残った尿が泡立ちやすく、その泡がなかなか消えないという特徴があります。また、重度の高血糖になると、尿から甘酸っぱい果物のような匂い(ケトン臭)がすることもあります。第四に、症状の現れ方に注目してください。気温の変化や緊張によって左右される通常の頻尿とは異なり、糖尿病によるものは、食事の内容や血糖値の変動に密接にリンクしており、一日中、あるいは食後数時間をピークに持続的に回数が増える傾向があります。これらの指針を参考にしつつ、もし一つでも思い当たる節があれば、安易に「疲れのせい」と自己判断せず、速やかに内科での血液検査を受けるべきです。血糖値やヘモグロビンエーワンシーの数値は嘘をつきません。自分の身体が発している微細な変化を客観的に捉えることが、取り返しのつかない合併症から自分を守るための、唯一かつ最良の防御策となるのです。
単なる頻尿と糖尿病による多尿を見分けるための指針