ある平日の午後、トイレで下着に小さな茶褐色の汚れがついているのを見つけたとき、私の心臓は一瞬止まるような衝撃を受けました。前回の生理が終わってからまだ十日ほどしか経っておらず、周期としては全く予想外のタイミングだったからです。最初は「何かの間違いだろう」と自分に言い聞かせましたが、翌日にはその汚れが鮮やかな赤色に変わり、量もわずかに増えていきました。ネットで検索すればするほど、癌や不妊といった恐ろしい言葉が画面を埋め尽くし、不安の波が容赦なく押し寄せてきました。仕事の合間もそのことばかりが頭を離れず、ついには「今すぐにでも原因を知らなければ発狂してしまう」という感覚に陥り、私はその日のうちに近所の婦人科の予約を取りました。病院の待合室で待っている間、周囲の女性たちが皆健康そうに見え、自分だけが何か重大な問題を抱えているような孤独感に苛まれました。診察室に入ると、先生は私の不安を察したのか、非常に落ち着いたトーンでこれまでの経過を聞いてくれました。内診台に上がるのは何度経験しても緊張するものですが、最新の経膣エコー検査は痛みもほとんどなく、数分で終了しました。先生はモニターを見せながら、子宮の壁の厚さや卵巣の腫れの有無を丁寧に解説してくれました。結果として、私の場合は特定の病気ではなく、仕事の激務による過度なストレスが引き金となったホルモンバランスの乱れ、いわゆる機能性不全出血であることが分かりました。癌の検査結果が出るまでの一週間は生きた心地がしませんでしたが、最終的に全て陰性と判明したとき、私は診察室の椅子に座ったまま深いため息をつき、涙がこぼれそうになるほどの安堵感を覚えました。今回の経験で痛感したのは、自分の身体が発する異変を放置することの精神的な毒性です。もし受診を先延ばしにしていたら、私は不安の霧の中で自分の体調を疑い続け、さらにストレスを溜め込んでいたことでしょう。病院へ行くという行為は、単に病気を治すためだけでなく、自分の健康を「確信」に変え、心の平穏を取り戻すための儀式でもありました。これを機に、私は基礎体温を記録し始め、自分の身体のリズムを客観的に見つめ直すようになりました。不正出血は、私に「もう少し自分を大切にしなさい」と教えてくれた、身体からの切実な忠告だったのだと今では思えます。
突然の不正出血に驚き病院へ駆け込んだ私の実体験記録。